災害時要援護者研究会(第2回) 会議記録 |
平成20年6月28日(土) 13:30〜16:00 市立総合福祉会館 第5活動室 参加者:13名 |
1、あいさつ ボランティアセンター梅田所長よりあいさつを行った。 2、県立保健福祉大学大学院 加納佑一氏による講演 テーマ 要援護者と仮設住宅 〜仮設住宅入居者と仮設住宅の特殊性〜 (1)講演内容(別紙資料に沿って以下の点が話しとして出た) @災害の法的位置づけ A仮設住宅の法的位置づけ B仮設住宅は個人の住宅だけではなく、バリアフリーの個人住宅や集会場がある。個人の住宅にはお風呂やトイレが設備されている C仮設住宅では日常暮らしていた生活よりも「より低いレベルの生活」を強いられる D自分の住宅に暮らしている人よりも、仮設住宅に暮らしている人は、経済的な面や日常生活上の面で厳しい現状にあること E仮設住宅に入居している人は健康上不安のある方や、経済的に困窮している人が多く入居している傾向にある F仮設住宅は町の中心地から離れているので、足の悪い人は仮設住宅の建物周辺以外には出かけることができない。仮設住宅では「何もすることがない」という意見がある G時間が経つと自分の住む住居をみつけ仮設住宅を出て行く人がいる。一方で自分の住む住居を見つけられず、仮設住宅の統廃合などで仮設住宅から仮設住宅へ引越しを行う人がいる。こうした人たちは仮設住宅に取り残された思いをもち、非常に不安を感じることがある。また、仮設住宅の期限が2年と決まっているので不安を感じることが多くある H被災前から生活上問題を抱えている人が仮設住宅に入居することが高い。仮設住宅は住環境やコミュニティなどの問題で、日常に問題を抱えている人たちがより生活をしずらい環境となってしまい、生活の再建へつなげていくことが難しい現状がある。 (2)質疑応答や意見交換 ・仮設住宅は、自立して住宅の再建 ができない人など、ぎりぎりでの 生活をしている人が多い。特に、 仮設住宅に長く住んでいる人に顕 著に見られる。本来、復興を目的 とした住宅であるにもかかわらず、 そこに住む人の住環境・コミュニ ティ・入居に期限があることなどで、非常に厳しい生活環境におわれてしまってい る。仮設住宅には、そのような問題があると思う。 ・仮設住宅の問題は、行政のみが取り組めばよいのではなく、当事者の役割、それを 支える近隣の住人の役割、ボランティアの役割、施設、医療機関など様々な主体の 役割があると思う。たとえば、住環境を良くすることが行政の役割とすれば、コミ ュニティをつくることは、近隣やボランティアの役割でもあると思う。まずは、そ れぞれの役割が何かを日常の生活の中から、見出し取り組んでいく必要があると思 う。 ・災害に起こる問題は、日常では見えていないだけで存在している問題だと思う。そ の問題をどれだけ気がついて取り組むかが大切だと思う。それは、当事者・近隣・ ボランティア・行政などの様々な主体に役割があると思う。 ・災害時の要援護者の情報について話題になっているが、災害時に本当に自分自身を 守ることを考えれば、その人、本人にも役割があると思う。たとえば名簿を行政に 届け出ることや、自分のプロフィールを身につけておくなどのことが出来ると思う。 そこに行政の施策や近隣の支援が生きてくるのではないか。 3、仮設住宅に関する事例の話し合い 2つのグループに分かれて、刈羽村の実際の事例をもとに、以下の3つの事例を話し合った。 (1)1つめの事例 @事例:仮設住宅に入居して一カ月。仮設住宅に入居しているたくさんの女性(特に高齢者)から「買い物にいけない」という声が出てきている。確かに、仮設住宅が建設された場所はスーパーや商店からは遠く、歩いて通える距離ではない。 どういった解決方法が考えられるか? A話合いの結果: ・災害救助法の制度での支援策があるのではないか ・ボランティアが車を送迎するような買物支援ができるのではないか ・移動スーパー、移動商店、朝市などでの支援(一方で食の確保以外にも買物は楽しみもあるのではないか) ・横須賀のスーパーの中には駅からスーパーまでをバスで送迎をしているので、スーパーがバスを出すようなことをしてはどうか。 B刈羽村で行った支援 ・ボランティアの協力で車を出したこと。しかし、継続性の問題を考えると限界があるので、役場が週2回、送迎用のバスを出すことになった。 ・移動商店も行っていたが、被災者の中には、仮設住宅のエリアから出て買物を楽しみたいという希望の一方ではあった。 ・スーパーがバスを出すように調整をしたこともあったが、結果的にはできなかった。 (2)2つめの事例 @事例:被災から半月が経過。家が壊れるなどして、生活できない方はまだ避難所にいる。夏の体育館は非常に蒸し暑いということや、家から遠く何もすることがないということもあいまって、体育館に入ると昼間からずっと横になっている高齢者ばかりだった。 A話合いの結果: ・目標や目的など、その人その人の役割をつくること。たとえば、仕事や手伝いごとをつくるなど。 ・目標や目的でも長期目標や中期目標など、ある程度、長いスパンでの目標をつくっていくこともよいのではないか。 ・気力が落ちていることもあるので話しを聴くこと ・文化交流など世代間交流をすること ・保健師などによる体操を通じて生活のリズムをつくること ・体育館(避難所)の施設整備をすること。福祉避難所の考え方も広げられないか。 B刈羽村で行った支援 ・足湯を実施したこと。足湯はそこに来る人の本音がでる ・避難所での子どもの食事用のテーブルづくりをおこなったこと ・地元の人によるお茶会や散歩プロジェクトなどを実施したこと。その時に、主体を外部の人ではなく、地元の人にすること (3)3つめの事例 @事例:仮設住宅は、基本的には同じ集落の人同士が近くに入居できるような配慮がされているものの、いつもの知り合いがいるとは限らない。ある住民からは、「話す人がいなくて切ない。」といったことも出てきている。 A話合いの結果: ・気持ちの問題なのか。医療の問題なのかがある。また、2つめの事例と重なる部分もある。外国人などは、母国語を話す人同士を集め場づくり。 ・どんな人と話をしたいのかケースバイケースの対応が必要 B刈羽村で行った支援 ・集会場での茶会。みんなでの共同作業(イベント)で気持ちを高める。リハビリをかねた集会場での取り組みを行った。来てない人への注意を払うことも大切であった。 4、まとめ @刈羽村の支援で感じたことはボランティアの気づき(こんなところが問題と感じたや、こんな取り組みが良かったなど)が大切であること。 Aそして、気がついたことまずは受け止め、そして整理しまとめ、課題や問題を多くの人に伝えることのできる機関や団体の存在が大切であること。 B多くの人に伝わることで、行政や地域の人やボランティアが動いていくきっかけとなること。 C特にAの課題や問題を見せていくことが大切で、それを担う機関として災害ボランティアセンターや社協の役割としてあるのではないかと感じたこと。 D今日のテーマは、高齢者の現状が多く述べることが出来たが、障害者への支援や在住外国人の支援などは、刈羽村の仮設住宅での支援の中では見えなかった。もう少し、こうした人がどのようなことを感じているのか、次回以降で深めていければよいと感じている。 5.次回の会議に向けて 次回は、今回出た内容もとに講師をまねき勉強会を開催することとなった。 |
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