横須賀市社会福祉協議会ボランティアセンターロゴ


災害時要援護者研究会(第5回) 会議記録


平成20年11月4日(火) 18:30〜20:30
県立保健福祉大学 A449(中講義室8) 参加者:15名

1、はじめに

(1)梅田ボランティアセンター所長あいさつ

 皆さん今晩は梅田です。横須賀市社会福祉協議会の地域福祉活動計画の一環として、今年の5月からこの研究会を開催しています。最終的なまとめにむけて、これから大変だと思いますが、研究会の成果が出るようにしたいと思うのでよろしくお願いします。

(2)これからの予定の説明と確認(事務局)

 今日の資料は2つあります。1つは「次第」と書いてあるもので、もう1つが「災害時に外国人が直面する課題」という資料です。

 「次第」には今日の流れが記載しています。今回の第5回目からは、研究会のメンバーから話をいただき、課題を皆さんに投げかけていただきたいと思っています。今日は「国際交流協会」の新倉さんがお話をしてくれます。次回は、「知的障害者支援ネットワーク」の方々にお願いをします。そして、第7回は「聴覚障害の方」にお話をしていただきます。

 このようにして、これからメンバー間でのやり取りを進めていきたいと思っています。今日は新倉さんから話をいただき、メンバーでディスカッションをしたいと思います。前回の研究会での話を参考につけておきましたので、これを参考に今回の話とつなげてもらえればと思います。それでは、新倉さん、よろしくお願いします。

2、横須賀国際交流協会からの課題提起

 「横須賀に住む在日外国人が災害時に感じていること」から

■自己紹介

 今日は、災害時に外国人が直面する課題について発表し、みなさんと何ができるか考えていきたいと思います。

 自分の地域に外国人が住んでいる方いらっしゃいますか?地域に外国人が住んでいないから安心、大丈夫とは思っていられません。

 地震はいつ、何処で起こるかわかりません。「住民」として地域住んでいなくても、時間帯によっては「労働者」として、季節によっては「観光客」として地域を訪れているかもしれません。

 昨日、久しぶりに日中自分の家にいました。そうしたら、近所にフィリピン人が住んでいることを発見!生活時間が異なることで顔を合わせない人はたくさんいます。

 ということで「全く関係ない」という地域や人はいないはず。そして何より、ここ横須賀市は、「国際海の手文化都市」です。

■被災外国籍市民のはじまりと問題点

 現在、様々な自治体や国際交流協会では「災害時における外国籍市民支援対策」が早急に進められています。また、新潟県中越地震、新潟県中越沖地震の際には、「多言語支援センター」という外国人被災者を支援するセンターが設置されているのが現状です。

 災害時における外国人支援の出発点は、1995年に発生した阪神淡路大震災の時。兵庫県内には約8万人の外国人が住んでいました。亡くなった外国人は174名で、人口における死者数の比率は高く、被害は大きかったのです。

 なぜ外国人の被害が大きかったのかというと、揺れが増幅した震度7地帯は、木造で築年数の古い住宅がたくさんあるところで、そこに外国人が多く住んでいました。こういった地域や住居は家賃が安く、多く外国人が住んでいたため、被害は大きかったのです。

 横須賀にはこういう地域はありますか?

 また、約2万人は「非日本語話者」だったため、与えられる情報が理解できないなどの被害もありました。このため、言語支援や相談窓口「外国人地震情報センター」を開設しました。これが現在の「多言語支援センター」の原型です。

 さて、最近の2つの地震、新潟県中越地震、新潟県中越沖地震の外国人のデータを見てみると、外国人登録をしている人の約1/8が避難所に避難していることがわかります。

 このデータを基に、ここ横須賀市の場合を考えてみましょう。

■横須賀の外国籍市民の現状

 横須賀には何人の外国人が登録をしているでしょうか?

 2008年9月現在、横須賀市で外国人登録をしている人は約5,000人。多い順にフィリピン(1200人)韓国・朝鮮(1000人)中国(700人)アメリカ(450人)ブラジル(400人)ペルー(380人)となっています。

 しかし、横須賀にはベースがあり、その関係者約20,000人は外国人登録者数5,000人には含まれていません。また、外国人登録をする必要のある人がしていないケースが考えられます。

 しかし、災害が起きた時は、登録していないから、市民でないからといって避難所に入れないということはありませんので、こういった最大の数も考えてみると・・・。指定応急避難所は市内113箇所ありますので最大で1避難所に約28人の外国人が避難することになるかも知れません。

 ではなぜこのように災害が発生した時、外国人支援が必要になるか考えてみたいと思います。

■外国籍市民と3つの壁

 災害が発生した時、日本人外国人問わず、日常からある「壁」が明確になり、また一気に高くなります。

 日常からある「壁」は3つと言われています。@言葉の壁、A制度の壁、B心の壁です。

 簡単に説明すると、言葉の壁は、日常でも日本語以外であまり情報提供がされない、情報が分からないということ。災害時には特に情報を得ること、理解することが困難になります。

 制度の壁は、外国人特有な問題が特に挙げられます。在留資格や再入国許可など日本人にはあまりなじみのないものです。

 これらの用語を聞いたことのある方いらっしゃいますか?

 例えば、日本に住む中国人留学生が地震で被災し、怖くて本国に一時帰国したいとします。しかし、パスポートも外国人登録も焼けてなくなってしまった・・・。また、再入国許可を取って出国しなければならないなど。私たち日本人にはない、外国人特有の問題が発生します。

 最後は心の壁です。日頃からのご近所付き合いや町内会への加入の有無、また生活習慣が違うことで地域との関係は日本人と比べると外国人は薄い場合もあります。それなのに突然被災しみんなで避難所生活・・・。心の壁は高くなりますね。また、避難所での日本人との異文化摩擦なども発生します。

 災害時にそういった高くなった壁を少しでも低くするために、外国人支援や多言語支援センターを設置することが望ましく、ここ横須賀でも災害が発生した場合は、設置する予定でいます。

■新潟県中越沖地震での多言語支援センターの事例

 具体的にどのような活動をするのか、新潟県中越沖地震を例に紹介します。

 スケジュールはこのとおりです。@避難所を巡って、外国人被災者状況把握。A必要と判断し、災害多言語支援センターを設置。B各避難所を巡回し、必要な情報を母国語に翻訳して届けたり、異文化摩擦を未然に防ぐ活動を行う。Bは後ほど詳しく説明します。

 これらの活動は、設置の音頭をとったのは新潟県国際課ですが、活動人員は全国の国際交流関係者が行いました。右の写真は訓練の時のものですが、1人1人のカルテがあり、避難所を回って状況を聞き取ります。総勢73人でJICAからも応援がきました。

 外国人支援の内容と留意点を詳しく見ていきます。

■被災時の外国籍市民の状況

 被災時の状況把握ですが、まず何が起こっているのかわからない!

 私たち日本人は小学生のころから避難訓練など行い、地震に備えています。しかし、地震のあまり発生しない国から来ている人たちは、このような教育は受けていません。つまり地震に対する経験の浅さから、これは「地震」ということが分からないのです。この前、「あんしん館」で研修をしましたが、韓国人の方などはこういった経験をしたのは初めてだといっていました。また、過去の地震では、大地が揺れているから、地面を押さえた人もいたそうです。また、何か爆発が起きたのか、地震発生後、迷彩服をきた自衛隊が被災地に入ってくる姿を見て、クーデターが起きたのではないかと思う東南アジア系の人もいたそうです。

 更に、避難所は日本人だけしか使用できないと思っていた外国人もいました。外国人登録をしていないから使用できない・・・。と考える人もいたそうですが、国籍や在留資格を問わず使用可能。また避難所とはどういった施設なのか、ということも日頃から伝え、教える必要があります。

 避難所ってどこですか?どうやって避難したらいいですか?ということがよく聞かれますが、船橋で訓練をした時に「選挙に行くところだよ」と答えた人がいました。ただ、外国籍の人は選挙には行きません。外国籍の方の身になって伝えることが重要です。(写真を見ながら)

 これも船橋での訓練の写真ですが、まず、避難所という文字をいろんな言語で書こうということをやりました。こういう表示も既にできているので、町内会などの訓練でも使ってもらえればと思います。

■避難外国籍市民の把握

 次に、被災者の把握をします。外国人被災者の把握は、避難所を1つ1つ巡回し、どういった外国人が避難しているのか確認作業を行いました。この場合、避難所でない所が避難所になるケースもあります。阪神淡路のときは避難所の4割が指定外避難所だったそうです。公園だったり、また市役所や公共施設は特にその可能性が高いです。そういった場所に外国人が多く避難することも特徴として挙げられます。

 さて、「指定避難所」からあふれてしまう人とはどんな人だと思いますか?

 体育館や学校を思い出して欲しいのですが、子どもの運動会のビデオ撮りでさえ、場所の確保は大変ですね。もともと地域住民が納まるキャパはないのが現状です。そうすると、元気で走れて、情報を正確に入手できる人が、近くの指定避難所に行くことができます。そうでない人がそれ以外のところに行かざるを得なくなります。

 避難生活では、主に使用される用語が普段とはことなることで理解できないことや、避難所での日本人被災者や避難所運営者との異文化摩擦などが挙げられます。具体例を挙げてみます。

■言語の問題

 たとえば、言語の問題があります。「地震の影響により電車はフツウです」というアナウンスがあった場合、日本人なら「不通」を想像しますが、外国人にとっては普通電車の「普通」の方が身近に使っている単語ではないでしょうか。これはほんの1つの例ですが、このように災害時の用語と日常使用している用語は異なります。

 また、災害発生直後よりも、その後の方が日本人にとっても難しい単語が出てきます。罹災証明や仮設住宅など。いくら日本語が上手な外国人でも分からない部分がたくさん出てくるでしょう。ですからきちんと母国語で情報を提供する必要があります。

■文化摩擦

 また、これは何も外国人だけのことではありませんが、配給物品のところで、「必要な分だけおとりください」とあった場合どのように考えますか?「4人家族なら○人分」

 しかし、文化背景や習慣の違いで、もしかしたら持てるだけ持っていく人もいるかも知れません。そこに、毎日配給が来るということや避難所にいれば3食でるという正確な情報が分かるような支援があれば、そういうことを防げるかもしれません。それが外国籍の人だから、全く何人は〜と言われることもあります。これらは個人の感覚ですが、その個人の感覚を形成・決定するのには、その人の文化背景や習慣、育った社会背景が少なからず影響しています。「当たり前」のことも日本人を含めた「個人の感覚」で解釈がことなることは、あらかじめ多言語化して示しておくことでトラブルを回避することができます。

 並んで配給物資をもらうこともそうです。北京オリンピック開催の際、「並ぶ」ということを中国の人は練習していましたね。「当たり前」と思っている暗黙のルールには特に文化・習慣が関わることを考えると、避難所入り口に「ここでは靴を脱いでください」という貼紙をはることも必要ですね。土足文化の人は、体育館に土足で入るでしょうから。

■多言語情報伝達の問題点

 外国人支援の内容と留意点の最後は情報伝達です。外国人の有無に関わらず、最低限の多言語情報を配信する必要があります。誰が外国人で誰が多言語情報を必要としているかなど、顔を見ただけでは分かりません。また、そういった情報があることで、「ここにはさまざまな人がいるんだ」という意識付けにもなります。

 だからと言って、何カ国語にもただ単に翻訳すればよいか、というとそういうわけではありません。防災無線を思い出して欲しいのですが、今は日本語と英語だけです。でもあれが、日本語、英語、タガログ語、韓国語、中国語、スペイン語、ポルトガル語になったらどうでしょうか?もう一度日本語を聞き返したいのに、時間がかかってしまいます。

■やさしい日本語

 多言語情報と言っても、なにも「外国語」だけとは限りません。特に災害時は、人手も時間も物も限られていますから、「やさしい日本語」が効果的です。「やさしい日本語」を聞いたことのある人はいますか?

 この「やさしい日本語」とは、1995年の阪神淡路大震災の時、言語面で的確な対応ができなかったことから誕生しました。「災害が起きたとき、直後の情報を被災地に住んでいる全ての人の言葉に翻訳して情報を伝える」というのが理想ですが、これは時間がかかります。だからと言って、英語だけで翻訳をしても、日本に住む外国人の中には分からない人もいます。

 災害時における「やさしい日本語」とは、彼ら外国人がいつも使用している「買い物をする」、「バスに乗る」などの程度の日本で作成することです。そうすることで、より多くの外国人に災害時の情報を伝えることができます。外国人にも必要な情報を必要最低限の日本語の語彙と文法で表現するこの「やさしい日本語」には、伝える内容に限りがあります。

 外国人にも必要な情報を伝えられる日本語は約2000語となっています。ですから、外部からの応援や翻訳・通訳体制が整うまでの災害発生後72時間生き延びてもらうための情報を伝えるためだけの表現です。

 また、災害時だけでなく、日常から町内会の回覧板やお知らせなどに少しこの気持ちを取り入れて作成してみるといいでしょう。この「やさしい日本語」で情報を得るのは、何も外国人だけではありません。分かりやすく書いてあれば、子ども、高齢者などそこから情報を得られる日本人の幅は横にも縦にも広がります。

 別紙に練習問題があるので、時間があれば後のグループワークでみなさん考えてみてください。

■質疑応答

1)新潟県中越沖地震などで起きた問題やトラブルなどはありますか?

 たとえば、地域性もあると思いますが、新潟の場合はお嫁さんが多かったので、お付き合いも近所の人とできていました。習慣などもよく分かっていらっしゃいました。あとは多言語支援センターもあったこともあって、大きなトラブルはありませんでした。

 阪神・淡路大震災のときは被害が大きく、中国の方が集まって話をしているだけで、何かたくらんでいるのではないかという憶測がありました。みなさん声が大きいので、うるさいと言われたりしました。

 神戸にはブラジル人が多かったので、怖くていてもたってもいられなくてサンバを踊ったりして避難所で困ったということがありました。韓国語は音声の関係で、ひそひそ話が難しいので、声が大きくなってしまうことがあります。日本人も十分うるさいと思いますが、それが外国人だからという理由で変な目で見られます。

 後は食べ物です。宗教の関係で食べられないものがあります。ですから、配慮としてはあらかじめ入っているものが分かるように表示などがしてあればよいと思います。そうすることで、トラブルにはなりません。それは、日本人でアレルギーの人も一緒ですよね。

2)横須賀の外国籍の方の高齢化について、現状はどのようになっていますか?

 データとしては分かりません。国籍によって違うと思います。たとえば、韓国や中国の人は高齢化してきている現状があります。

3)多言語とは、具体的にどのくらいの数の言葉になるのですか

 地域によってだと思いますが、横須賀では英語、韓国語、中国、スペイン、ポルトガル語、タガログ語で翻訳をしています。

 アラビア語など少数の人たちの翻訳となると、翻訳する人材がいないなどの問題もあります。特に災害時には顕著となるので、やさしい日本語が重要になってくると思います。

3)やさしい日本語で2000語とは具体的にどんな言葉がありますか

 日本語の英検みたいなのものがあり、その3級程度のものとなっています。ただ、2000語にとらわれず、簡単ということではなくて、どれだけ親切に伝えられることができるかということが重要です。これが正解ということはないと思います。たとえば、中国の方が多い地域であれば、漢字を多く残しておくといった配慮をしなければならないということもあります。

4)横須賀の場合、災害時要援護者の中に外国籍の人が入っていませんがどのように感じますか?

 要援護者になるタイミングが違うのではないかと理解しています。外国籍の人は、危ないから逃げてと一緒に手を引っ張ってもらえれば、逃げることができます。必要になるのは、言葉の支援だから、支援を必要とするタイミングが違うので、他の要援護者と一緒にするのは難しいのではないか思います。

 外国人の場合は、どちらかというと支援する側になる可能性も高いと思います。支援する側になるように、日頃からどうしておけばよいかということを考えなくてはいけません。

3、意見交換

(1)やさしい日本語の問題に挑戦

グループになり、みなで阪神・淡路大震災でのニュースを翻訳

やさしい日本語の問題:ニュース記事より

けさ5時46分ごろ、兵庫県の淡路島付近を震源とするマグニチュード7.2の直下型の大きな地震があり、神戸と洲本で震度6を記録するなど、近畿地方を中心に広い範囲で強い揺れに見舞われました。

各グループの「やさしい日本語」

(Aグループ)
今日の朝、神戸ちかくで大きな地震がありました。マグニチュード7.2です。ビルや建物がこわれたり、火事がおきています。

(Bグループ)
今日の朝、5時46分頃、大きな地震がありました。場所は兵庫県神戸です。大阪、京都でも強く揺れました。

(Cグループ)
AM5:46 神戸と大阪の間の兵庫県(瀬戸内海の淡路島)で7.2のマグニチュードの直下型の大きな地震がありました。神戸と洲本は震度6を記録しました。近畿地方は広い範囲で今までにない強い揺れでした。

 たとえば、「今朝」を「今日の朝」などにするなど、日常使われることばにしてみることがあると思いますが、個人的には「これが正解!」というものはないと思っています。

 作成する際、内容がやさしいや簡単、全部ひらがなにすれば良い、漢字にルビを振れば良いなどではなく、いかに情報を受けとる側に「伝える心」を込めて作成するかの「優しい」というニュアンスが大切と感じています。

(2)各グループでの話し合い(感想・意見など)

 Aグループ

情報提供をするのみでなく、何のために情報提供するのか、その目的を何かしっかりと考えていきたい。

横須賀災害ボランティアネットワークの種々の活動と関連があり、この取り組みも関連させていくことが大切ではないか。

地震が起こること、避難所のことなど、災害前の日々の教育が大切ではないかと思う。

情報伝達においては今日のやさしい日本語のように、相手に理解できるような工夫をしていくことを感じた。

・今日は外国人をテーマにしたが、災害時に起こる問題は、どんな対象者にも共通の問題があると思う。それを明らかにしていくことも研究会では大切と感じた。

 Bグループ

知的障害の人のコミュニケーションは、言語のみではなく絵をつかって伝える。そのようなコミュニケーション用のボードがある。視覚でうったえることもよいのではないかと感じた(自閉症協会のホームページにコミュニケーションボードの例がある)。また、視覚障害の方にとっては、触ってわかるものなどを使用すると良いと感じた。

避難所など集団での生活では、文化の違いの理解が重要になることがわかった。この違いを伝えていく文化通訳者の必要性を感じた。

外国籍の人がどこに住んでいるのか把握する必要もあるが、災害への理解、啓発など長期的な視点での情報伝達も望まれると感じた。

Cグループ

高齢者について考えたときに、認知症の方に対してなど「わかりやすい言い方」をする必要があり、その点でやさしい日本語は興味深いと思った。

避難所など多くの人がいる場で掲示しているものであれば、字が大きいことはどの人にとっても見やすくなる。同じように、やさしい日本語は情報を伝達のうえで基本になるのではと思う。

言葉のみではなく、マークや絵文字の利用もしていくべきではないかと感じた。特に、その際は誰もが見てもわかるようなマークがいいのではないか。例えば、フォークとナイフで食事とわかるようにしたり、赤十字のマークのように国際的にも「支援してくれる」というのが共通認識できるようなものを使うなど。

最近、スーパーなどの表示も多言語で表示されるようになったいる様子を伺うことができる。今日の話で、外国籍の方への情報提供の配慮について学ぶことができた。

それぞれの地域に外国籍の方がいる現状があっても、町内会が外国籍の方に対して理解をしようという気持ちがまだまだ少ないと思う。たとえば、イベントなどをきっかけに、もう少し、関心をもって関わることに力を入れることは重要と思う。

(3)各グループでの話し合い(応用できそうな取り組み)

どんな人が住んでいるのか、どのような情報を伝えればよいのかなど、日常からの正確な状況を知ることが大切。

文化の違いの理解が重要であり、文化通訳をしていくことが大切と感じた。

やさしい日本語を意識した文字情報や、マークや絵文字など見て分かるもの、あるいは視覚障害者などに配慮したような、コミュニケーションボードを避難所に置くなどの工夫をすることで、外国籍だけでなく、多くの人とのコミュニケーションができることを感じた。

日常からの関わりをもつこと、その国やその人の文化の理解に努めることや、災害についての理解や意識啓発に努めていくことを感じた。

この研究会の取り組みを横須賀災害ボランティアネットワークなど、他の活動団体へと伝え、横のネットワークを作っていくことを感じた。

4、まとめ

 同じ「災害時要援護者」のくくりでみても、外国人は他の要援護者とは支援を必要とするタイミングや内容が異なります。ただ、正確な情報がきちんと伝われば、いつまでも支援される側に留まるのではなく、支援する側になることもできます。

 災害時における外国籍市民支援の今後としては、「外国人」「外国人支援」だけが「とがらない」ようにすること。多くの幅広い理解と協力を仰ぎながら、基本的に災害時に高くなる3つの壁を日常から低くしておくということが重要になってきます。

 日頃からの情報提供では、正確な情報、理解できる情報の提供をしていくこと。また、「文化通訳者」の育成では、外国人だけでなく様々な人に対して、その文化背景を理解し、「言語の通訳」ではなく「文化の通訳」としての橋渡しをできる人や、やさしい日本語を使用できる人、他の文化・習慣を知っている人を育成していきます。地域社会への意識啓発では、日本人外国人を問わず、誰が(どんな人が)どこに住んでいるのかという顔の見える関係の構築をしていくことが重要だと思っています。

 後は、基本的なことですが、横須賀が被災したら私もみなさんも被災者です。支援活動が行えるかどうかわかりません。ですから、外部との連携や信頼関係も日頃から強化しておかなければなりません。たとえば、横須賀国際交流協会では、姉妹都市を結んでいる船橋市など合同研修などを企画・取り組んでいます。

 いざという時、家族単位、町内会単位、市単位などで正確な情報を、スムーズに外部から入ってくれた支援隊に渡すことが、災害発生時に唯一被災地のできること、また、しなければならないことでしょう。そのための整備を平常時から行っておくことが重要だと言えます。

5、次回にむけて

 次回は、知的障害者支援ネットワークからの事例報告として「知的障害者が災害時に感じていること、そして自分たちのグループができること」を中心にお話をいただくこととなった。

次回は、平成20年11月25日(火)18:30〜県立大学で開催予定

(福)横須賀市社会福祉協議会ボランティアセンター(通称:よこすかボランティアセンター)
〒238-0041 横須賀市本町2-1 市立総合福祉会館4F
Tel:046-821-1303 Fax:046-824-8110
E-mail:shakyo-v@abox22.so-net.ne.jp

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